Style
ランジェリーをあなたの日常スタイルに
その道のプロから学ぶスタイルコラム
イギリスからSPLASH特派員がお届け
United Kingdom
英国からおくるランジェリー情報
若い世代が母そして乳がんのため立ち上がった「Love Me… (And My Secret)」
日本では11人に1人が患うという乳がん。イギリスでも毎年約55,000人が新たに乳がんに罹患、これは1日に150人以上もの人がこの病いに罹っているということです。
今回の記事は「Love Me… (And My Secret)」を取り上げます。 24歳のときに母親が乳がんになったことがきっかけになり、娘のモーガンが立ち上げたブランドです。
10月のピンクリボン月間を控えるタイミングです。 イギリスの乳がんの事情をシェアするとともに、モーガンのブランドコンセプトやコレクションを紹介します。 皆さんと一緒に考える機会になれば嬉しいです。
世界規模!乳がん啓発キャンペーン「ピンクリボン」
この運動の由来にはいくつかの説がありますが、80年代アメリカで始まったと言われます。乳がんで娘を亡くした母親が同じ悲しみを繰り返さないようにと願いを込めてピンク色のリボンを孫に手渡します。これをきっかけに町の人たちへ広めたことから今や世界に広がっています。
日本でピンクリボン運動が多くの人に知られるようになったのは2000年代に入ってからですので、20年が経ちました。 様々な団体がいろいろな活動をして、乳がんの認知や検診の推進を啓発しています。10月1日には東京都庁舎やレインボーブリッジなど、各所で行なわれるピンク色のライトアップを見た方もいらっしゃるかもしれませんね。
そう言えば、筆者がイギリス人夫と東京に暮らしていた2000年代前半。夫が勤めていたアメリカ企業の代表が乳がんになったことからピンクリボン運動として皇居付近を走るイベントを開催しました。私もスタッフとしてお手伝いをし、イベント後は六本木のホテルで行われたball(パーティ)に着物で出席したことを思い出します。
イングランドのマンモは50歳から
イギリスの医療はNHSという国民保健サービスという制度が英国政府によって運営されています。何かあれば必ずかかりつけ医にかかり、その後必要な場合は大きな病院に照会されます。ほとんどの診察や手術が無料です。
検診が重要と言われる乳がん。しかしイングランドではマンモグラフィは50歳から、NHSがお知らせがきて3年に一度の頻度でマンモを受けます。
NHSによれば、8人に1人の女性が罹患、がんの中でも乳がんが最も多いと言われています。そのわりにはマンモ検診の開始年齢やその頻度、日本を知る私にとっては少し不安に感じてしまいますが、これは予算が絡んでいると思われます。 そこで以前、マンモ技師に聞いてみたところ、「触診」がかなり重要と言うことでした。
多くの方が罹患する乳がん。
2013年、モーガンも母親が乳がんに罹ってしまいます。このことがブランドの立ち上げをするきっかけになったのです。
Love Me… (And My Secret)、乳がんをした女性のためのランジェリーブランド
24歳のとき、モーガンの人生にとても大きな2つの変化がありました。大好きな母親が乳がんに罹ってしまったこと、そしてこのことがきっかけで乳がんの手術をした人でもランジェリーで自信を得るお手伝いをするための自分のブランドを立ち上げたことです。ブランドは「Restoring body shape and confidence!」(体型と自信の回復)がコンセプトです。 しっかりしたサポートのデザイン、可愛くてグラマラスな生地、そして快適なつけ心地のため肌に触れるカップ裏地にはオーガニックコットンを使用しています。
使った人からのレビューも一部紹介しましょう。
「3年前に両脇の乳がんを患い、片方を乳房切除、もう片方は乳腺切除。それ以来、脇の下のリンパ腫に悩まされてるけれど、可愛くて肌触りの良いブラを見つけることができませんでした、今までは!」
「2012年、乳がんで乳房切除して以来、自分にぴったりのものを探していました。がんで胸を失ったけれど、Love Meは私の自信、そして体型を取り戻してくれました。見た目もセクシーになって、がんと闘っています。」
モーガンが私に話してくれたこと
モーガンがこんな事を話してくれました。
「母は乳がんと診断されたのだけど、まだまだ若くて素敵な洋服を着て食事をしに出掛けることを楽しんでいた。だからこそ、ランジェリーも同じであるべきと考えたの。」
デザインは自分で?と聞くと、
「私が求めたのは快適でサポート力がある。同時に可愛らしさもあること。自分でまずデザインをして、それをデザイナーに託して仕上げてもらうの。」
そして、若い女性がちょっとデザイン画を描いて商品にするのでなく、こんな行動も起こしていました。 「医師、外科医、看護師で作ったチームに関わってもらい、多くの女性にとって本当に良いものになるかデザインしました。そして、多くの地元の女性に実際に試してもらった上で製造に入りました。」
母親が乳がんと言われたときの娘の気持ちは計り知れません。生活ががらりと変わってしまった状況で、新しいことを始めるには精神的にも体力的にも相当なエネルギーが必要だと思います。 しかし、母のため、乳がんになった女性のための強い意志がモーガンの情熱になり、ブランド立ち上げになりました。
選択肢があるという幸せ
私の友人にも何人も乳がんを患った友人がいます。乳房再建をしたり、食生活を変えてみたりと元気に生活しています。そして、何歳になっても女性らしさを放棄したくないという思いも共通なものに感じます。そんなときに、医師などの意見も取り入れ、かつ、デザインにも可愛いランジェリーがあるということの意味は大きいものなのではと思います。
モーガンとのやり取りで、彼女のレスの速さ、そしてフレンドリーだけれど礼儀正しい姿勢もこれまで関わってきた多くの人たちとの関係を想像させられる印象でした。 SPLASHでも9/24~10/29の期間でピンクリボンキャンペーンが予定されています。ぜひご覧ください。
さて、次回は多くの人に人気のETSYショップからイギリスベースのお店を紹介します。こちらもぜひお楽しみに!
各分野で活躍する方々に登場していたたきランジェリーや女性の美、最新の ファッションやコーディネイトに関する情報を発信していただく最新コラムです。
©2018 SPLASH.全ての文章は著作権で守られています。無断転載・無断使用、まとめサイト等への引用を厳禁いたします。