ランジェリーをあなたの日常スタイルに
その道のプロから学ぶスタイルコラム

海洋保護ボランティア、ケンブリッジ大学卒業、そして立ちあげたAmaella Circular Lingerie

皆さん、こんにちは！英国からsachiがお届けします。在英生活も17年目に入りました。南ロンドンの生活はとても快適ですし、多くの出会いがあったり学ぶことも多く充実しています。

イギリスに住み学んだことの一つに、夢を持つ人はそれを実現することが可能な国だということがあります。

今回紹介するのはAmaella Circular Lingerie。ケンブリッジ大学を卒業したLaraが立ちあげたランジェリーブランドです。

Amaellaはどんなランジェリーを作っているのか、 Laraがどんなビジョンでビジネスを始めたのか、 オーガニックコットンを使う理由とは何なのか？夢を実現したある女性のストーリーを紹介しましょう。

Amaella Circular Lingerieのオーガニックコットンランジェリー

まずはAmaellaのランジェリーを紹介しましょう。

Amaellaではオーガニックコットンブラ、オーガニックコットンニッカーズ（※丈がひざ下で裾口をベルト締めしたズボンの一種）、そしてオーガニックコットンナイトウェアというシンプルなラインナップが揃っています。

白、紺、ピンク、グレーという色使いが清潔感を出し、スポーティであるもののスタイリッシュかつロマンティックな雰囲気を合わせ持っています。爽やかだけど可愛い！という感じで、ストラップのデザインも素敵です。

いくつか作品をみていきましょう。

商品名:Red Organic Cotton Bra 　£59

サポート力があり着け心地が良いサスティナブルなブラ。オーストリア産の高品質なGOTSオーガニックコットンを使用しています。手洗いと自然乾燥で二酸化炭素の排出を抑えようというメッセージも込められています。

商品名:Blue Organic Cotton Bra 　£59

深いミッドナイトブルーとパープルに近いブルーのストラップの組み合わせがエレガントなブラです。2種類のストラップ付き、Oeko-Tex100 92%、GOTSオーガニックコットン8％。

商品名:Blue and Lilac Organic Cotton Brazilian Knickers 　£25

ブラジリアンニッカーズは、クロスしたゴムがセクシーで、環境に優しい水性インクを使用した線描きの紫陽花柄が美しいです。労働者の権利が尊重される倫理観の高いポルトガルで、熟練の職人によって丁寧に作られています。GOTSオーガニックコットン使用。

「Global Organic Textile Standard (GOTS)」と「Oeko-Tex Standard 100」認証を受けたAmaella

さて、上述の作品紹介ではGOTSやOeko-Tex100というフレーズがでてきました。少し説明しましょう。

GOTSとはGlobal Organic Textile Standardの略で、オーガニックの繊維製品の基準と認証マークのことを言います。有機栽培の原料を使用し、環境と社会に配慮して加工・流通されたことを示します。

原料がオーガニックであるだけでなく、収穫から流通までの全過程において社会的に配慮した方法で実行され一般製品との混合がないように管理されていることを証明します。

一方、Oeko-Tex Standard 100。こちらは世界トップレベルの安全な繊維製品だということの証です。ホルムアルデヒドやアレルギー誘発性線量など多くの試験項目について世界各国が自国の規制を持ちますが、Oeko-Tex Standard 100はすべての国の規制をカバーできるように世界最高水準になっています。

ファッション系サプライチェーンには多くの化学物質が存在し、そのうち30％が環境を通じて人間の健康にリスクを及ぼしていると言われます。例えば、綿花の生産には年間で20万トンもの農薬が必要と推定されています。

そこで、Global Organic Textile Standard (GOTS)やOeko-Tex Standard 100といった第三者認証基準を満たした素材や染料を意識することが大切になります。

少し硬い話になってしまいましたが、世界にはこのような基準が存在するということ、そしてAmaellaはGOTS、Oeko-Tex Standard 100両方の認証を受けている世界基準の作品だということをお伝えしたかったのです。

ここからは、社会性と安全性にコミットするAmarelleの背景、そして創業者Laraの描くビジョンを見ていきましょう！

Laraのストーリーを紹介

まず、創業者であるLara（ララ）のストーリーを紹介します。

起業の前の時代に遡ります。ララはケンブリッジ大学に入学、2017年にMBAを取得し卒業をしました。彼女のアイデアやAmaellaを立ちあげた企業家としての足跡がケンブリッジ大学University of Cambridge Judge Business School「Our ventures」ページでも紹介されています。

ララにはJulie（ジュリー）という共同創業者がいます。 ララもジュリーもケンブリッジ大学のMBAを取得しましたが、この2人の出会いのきっかけはスペインで国際マーケティングとコミュニケーションの修士課程をとっていたことでした。そして虐待を減らし、より持続可能で社会的責任のあるファッション業界を求める声に応えるソーシャル・ベンチャーを作りたいと意見が一致します。

Amaellaというブランド名に込められたスペイン語で”彼女が愛している””彼女を愛している”という意味からも、彼女たちの思いが見て取れますよね。

ララたちが考えたビジョンは「倫理的で持続可能な価値観を核としたファッション企業を作る」というものでした。環境、社会、エンゲージメントの各指標を含み、オーガニック繊維から作られた美しくスタイリッシュなランジェリーを作ることを実現し、今に至ります。

Laraがオーガニックコットンに注目した理由とは？

ララはケンブリッジ大学に入学する前、研究期間としてマダガスカルの海洋保護ボランティアに参加しています。そこで、水質汚染の重大性と影響に繊維製品が大きな責任をもっていることに気づきます。また、綿花農園を訪れ、伝統的な綿花栽培がいかに有害であるかを目の当たりにしたのです。

このような体験を自分のなかにしっかりと受け止め、オーガニックコットンのランジュエリーを作るようになっていくのです。

ララの言葉を紹介しましょう。

「エシカルなベンチャー企業とはどういうものなのか、私の考えを反映したものを始めるには最適の場所だと思った。そして、オーガニックコットンとエシカルを融合させた新しいランジェリーブランドAmaellaが誕生した。私たちは今、持続可能で倫理的な資源を使って服を作ることで、ファッション業界に倫理的な慣習を奨励することを使命とする社会企業を運営していることを誇りに思っている。」

思考力、想像力、意志が揃ったときに行動力によって夢が実現されることになる、やりたいことを可能にするという英国の素晴らしさがララによって証明されました。

Amaella Circular Lingerieのサーキュラーの意味とは？

最近ネーミングが変わり、Amaella Circular Lingerieとなりました。 Amaellaのもう一つのアイデアを紹介しましょう。それがリサイクルです。

実際にリサイクルされるランジェリーは1％以下と言われているそうです。確かに誰かが直に身に付けたリサイクルのランジェリーは一般的でないかもしれません。

しかし、Amaellaではそれを実行しています。まず、このリサイクルプログラムに興味があることをメールし、自宅からの回収または印刷したラベルを使って郵便局に持ち込みます。このリサイクルではランジェリー全般を受け付けています。

回収された商品は消毒され、リサイクルする部分の仕分けが行われます。その際、ホックやストラップなど内部サンプルで使えそうな部分は取り出されます。再利用できない部分はクッションやビーンバッグの詰め物として使用されます。

このようなリサイクルを推奨することで作る側の責任を果たし、これ以上ランジェリーが埋立地に捨てられることを防ぐために役立ちたいと考えているのです。

Amaella Circular Lingerieが提案する美しく社会性のあるランジェリー

Amaellaのランジェリー、そしてララのストーリーを紹介しましたがいかがでしたでしょうか？

ラインナップは決して多くはありません。しかし、スローでサスティナブルなランジェリーは間違いなくララの作りたかったもの、それに共感する人がいます。これからも活躍に期待です。

さて、次回コラムは英国で人気の着物、そして浴衣が変身してローブとなっていることを紹介します。 イギリスでの日本のイメージも併せてお伝えしますので、ぜひ、お楽しみに！