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おばあちゃんの台所
今回は、ポーランドとエストニア旅行の思い出を、ステキな写真と文章で綴ったフォトエッセイ『おばあちゃんの台所』をご紹介します。このエッセイは、以前にご初会したフォトエッセイ『おばあちゃんのエプロン』の続編。著者は『おばあちゃんのエプロン』と同じく、家内製手工業人・石澤敬子さんと写真家・和田直美さんです。旅先のポーランドとエストニアで出会ったおばあちゃんたちの豊かな日常が綴られています。
台所というタイトルから、おばあちゃんたち秘伝の料理レシピ本を想像してしまいますが、料理のレシピはほんの一部。旅の途中で出会った美しい風景や、おばあちゃんたちの日常から見える東欧の文化の紹介がメインとなっています。ポーランドの旅行記は前半3分の1くらいですが、エストニアとポーランドのおばあちゃんたちは、生活スタイルがよく似ています。例えば、エストニアの森で野生のキノコを採ってきてソテーにするという話が出てきますが、ポーランドでも森のキノコ狩りは定番。秋になると採ってきたキノコをソテーやスープにして食べます。エストニアでも同じだということを、この本を読んで知りました。
もうひとつ、この本を読むまで知らなかったことがありました。それは、ポーランドの人たちが週末にのんびりと過ごすための「セカンドハウス」を持っているということです。週末になると車で田舎のセカンドハウスに向かい、ゆったりとした時間を過ごすのだとか。このセカンドハウスは、お金持ちの人が持っている別荘のようなものではなく、森の中にひっそりと佇む「小さな小屋」のようなもの。この本の中では、小屋の台所で手作りされたおばあちゃんの手料理と、そのレシピが公開されています。どれも素朴な見た目だけれど、とても美味しそう。見ているだけでお腹が空いてきます。
のんびりとした時間の流れが心地よい一冊。ちょっと疲れた時にオススメです。
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