Style
ランジェリーをあなたの日常スタイルに
その道のプロから学ぶスタイルコラム
イギリスからSPLASH特派員がお届け
United Kingdom
イギリスからお届けするランジェリー事情 bySPLASH特派員&ライター Sachi
ジェンダーニュートラルランジェリー。B Corp取得のTOMBOY Xを紹介
皆さま、今回もイギリスからランジェリー情報をお届けします。
さて、世の中は様々な人で構成されています。女性、男性、子ども、大人、そしてジェンダーニュートラルの人たちもその一員です。近年は、男女差にとらわれない中立の立場をとるジェンダーニュートラルのため、ランジェリーやファッション界などで様々な商品が増えています。
このコラムではジェンダーニュートラルをトピックに、どのようなランジェリーが提供されているか紹介します。ランジェリーほど性別がはっきりと分かるアイテムはありません。
その中で、ジェンダーレスのランジェリーとはどのようなものなのか、ジェンダーレス問題の先進国と言われるイギリスからお届けしましょう。
私はオンナ、あなたはオトコ?ジェンダーの問題とは?
女らしさや男らしさという言葉に違和感を覚える時代になってきました。女性は論理的な考え方が苦手だとか、男らしくしなさいといった決めつけた言い方に疑問を感じるようになったのはいつからでしょうか?
ジェンダー問題、またはジェンダー不平等とは、社会的および文化的な性別に基づく偏見について、教育における機会の不足や男女の雇用における賃金格差などの不平等に関する問題を指します。これらの長年の結果から多くの女性が貧困に陥り、十分な医療を受ける機会まで低くなっていることがわかっており、国連もこの問題に取り組んでいます。
そんな大げさなこと?と感じた皆さん、日常の生活で格差が当然視される環境にいるのかもしれません。ジェンダーに関しては、このコラムでは書ききれないほどの情報がありますが、ジェンダー問題は格差や平等・不平等について改めて考える良い機会になると言えるでしょう。
イギリスの男女格差78%を解消
筆者が渡英した2006年、BBCニュースを観れば女性キャスターが多いこと、国会中継を見ると女性議員が多く、ある党のリーダーも女性であるなど、日本との違いを目の当たりにしました。これは地元の行政においても同じで、多くの女性たちがリーダーシップをとって活躍しています。
さて、イギリスにも男女格差があり問題となっています。しかし、問題になること自体、大歓迎ではないでしょうか? それによってすべきことが見えてくるからです。
英国議会の公式サイトに「Have gender gaps narrowed?(格差は縮まったのか?)」というページがあります。これは2023年のインターナショナルウィメンズデーにちなんだものです。これによると、イギリスは男女格差の78%を解消し、146ケ国中22位にランクインしています。ちなみに、現在のスピードで世界が完全に同等になるには132年かかると予測しています。なんとも、気が遠くなる道のりですね。それだけ、この問題が深刻で解決が容易ではないことを示しています。
自1975年に性差別禁止法という法律が制定され、ジェンダーギャップ解消を目的とした機関や団体があることなど、イギリスが先進国と言われる所以でしょう。
ジェンダーニュートラルとは?
ジェンダーに関する日本語の用語は英語から来ることが多く、情報を海外からも得ることでより多くの、また正確なニュアンスを知ることができます。例えば、gender equality、gender neutrality movement、gender identity、gender spectrum、genderless、non-binary peopleなどがあります。
ジェンダーニュートラル(Gender Neutral)という言葉があります。Genderは性を指し、Neutralは中立的なという意味です。つまり、何かが女性にも男性にも関連づけられていない状態を指します。ジェンダーニュートラルはつまり、ジェンダーに中立的なということなんですね。
ハリー・スタイルズのジェンダーレスファッション
ハリー・スタイルズと言えば、元One Directionのメンバーであり、イギリスのミュージシャン兼俳優です。日本にも多くのファンがいることでしょう。
Embed from Getty Imagesハリーが話題になる際、そのファッションは欠かせない要素の一つとなっています。2020年には、男性として初めて米国版ヴォーグの表紙に登場しました。彼はグッチの特注の夜会服にレースのトリミングが施されていました。
Embed from Getty Imagesインタビューの中で、ハリーは自分の性別に基づいて何を着るべきかという境界線が崩れつつあると語っています。障壁を取り除くことで、プレーできる場所がこれまで以上に広がると述べています。服で遊ぶことが、自分を制限するべきではないという考え方ととてもマッチしている、と彼は語りました。
ジェンダーニュートラルのためのランジェリー
ジェンダーニュートラルはファッション界の重要なトレンドになっています。その流れはランジェリーにも間違いなく起こっています。このコラムでは、B Corp認証を獲得しているTOMBOY Xに焦点を当てます。
創設者のFran DunawayとNaomi Gonzalezによって立ち上げられたTOMBOY Xは、アクセスしやすく持続可能で、性別やサイズを包括的に考慮した商品を提供しています。 TOMBOY Xの使命は、急進的な可視性と包括性であり、世界の善を推進するB Corpの動きと完全に一致していると言います。B Corpの認証を獲得したブランドTOMBOY Xは注目に値します。
B Corp認証を取得したTOMBOY Xでは、あらゆるレベルの意思決定に社会的・環境的影響を組み込み、強力な倫理規定を支持しています。さらに、全社員の働く環境づくりへのコミットメントがあります。 チームメンバーのうち30%がLGBTQ+、77%が女性主導、35%がBIPOC(黒人、先住民や有色人種の略)であり、サプライヤーについては、女性経営の企業や、環境認証や優れた賃金を提供する企業を優先しています。この徹底ぶりは非常に素晴らしいですね。だからこそ、B Corpの認証を受けたのは必然のステップだったのでしょう。
TOMBOY Xはクィア(Queer)によって設立されたブランドであり、FranとNaomiがジェンダーニュートラルにぴったりなボクサーブリーフの開発を手がけたことから始まりました。このことが圧倒的な反響を呼びました。自分らしくあり得ること、平等にランジェリーを選ぶことのメリットがヒットの理由でしょう。
理想的なボクサーブリーフに出会った人々が興奮し、喜ぶ姿が目に浮かびます。女性が女性用の、男性が男性用のランジェリーを多くの選択肢から選ぶことが当然の世界からは想像できないことだったかもしれません。
各アイテムはシンプルなものや、パターン入りのものが数多く揃っています。多くはオーガニックコットンを使用し、ボディに心地よくフィットするスタイルのデザインです。過激なものはほとんどありません。
TOMBOY Xは顧客からの大きな信頼を受け、受容と平等の促進のために製品づくりに熱心に取り組んでいます。一貫したコンセプトを持ち、思慮深く美しく作られた製品に誇りを持つ、頼り甲斐のあるブランドです。
ジェンダーニュートラルというランジェリーの選択肢
今回のコラムでは、ジェンダーについてイギリス事情をみるとともに、ジェンダーニュートラルのためのランジェリーを紹介しました。
最近では、相手を呼ぶ際に彼女をShe、彼をHeと呼ぶことを避け、They/Themと呼ぶようになる傾向が見られます。こうしたニュースを目にするたび、イギリスでのジェンダーについての時代の変化を感じます。
きっと女性や男性という分け方ではなく、自分自身であること、そしてそれをお互いが認め合うことが大切であり、自然なこと。時代はそういうレベルに来ているのでしょう。
さて、次回はロンドン生まれのブランド「STRIPE & STARE」を紹介します。ニッカーにこだわる楽しいチームをお楽しみに!
各分野で活躍する方々に登場していたたきランジェリーや女性の美、最新の ファッションやコーディネイトに関する情報を発信していただく最新コラムです。
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