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フランスからSPLASH特派員がお届け
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フランスからお届けするランジェリー事情
フランスのランジェリーの歴史とトップブランド
こんばんは!
フランスからランジェリーについて発信しているライター、パリ子です。
フランスは秋を迎え、日照時間が徐々に短くなっています。もうすぐサマータイムも終了ですね。時計を1時間遅らせる日は、1日が25時間あるような気分になります。
フランスの秋は日本と同じように過ごしやすいですが、雨が多く、1日の中で寒暖差が激しいのが特徴です。そのため、朝はダウンを羽織り、お昼にはTシャツとビーサン姿になるなんて不思議なことがよく起こります。
11月1日には日本のお盆に似たToussaint(トゥッサン)という祝日があり、多くの人がお墓参りに出かけます。家族でお墓をきれいに掃除し、お祈りを捧げながらゆっくり過ごすのが一般的です。お墓に供えるのは菊の花というのも日本と同じですね。
日本と違うのは、Toussaintに2週間のバカンスがあることです。ほぼ2ヶ月にわたる夏休みが終わったばかりなのに、またもやバカンス!いつ仕事や勉強をしているのか心配になります(笑)。
さて、今回はフランスのランジェリーの歴史と、歴史あるランジェリーブランドをご紹介したいと思います。
フランスランジェリーの歴史
フランスのランジェリーは、そのエレガントなデザインや高品質な製品で世界的に注目されています。何世紀にもわたり、フランスはランジェリー業界の最前線に立ち、官能的でありながら快適性にも富んだアイテムを生み出してきました。
"ランジェリー"という単語は、フランス語の "Lin"(ラン)に由来しています。古代のフランスでは、胸と腰を隠すためにバンドゥタイプの麻布が使われていたという記録があります。その後、原始的なコルセットが生まれました。現在のように誘惑の道具として広く使われるようになったのは、なんと1970年代に入ってからです。
古くは、ランジェリーは上流階級の人々にのみ許された贅沢品でした。
17世紀にレースの輸入が禁止され、国内に大規模なレースの工場が作られ、芸術品のようなランジェリーがフランスで作られるようになりました。ルイ14世が統治する時代には、世界最高レベルのレースがフランスで製造され、コルセットの工房も誕生しました。
そして、18世紀には貴族の女性たちが体型を整えるためにコルセットを着用していました。また、宮廷では必ず着用しなければならなかったスカートの裾を広げるためのパニエは、刺繍で煌びやかに飾られていました。
コルセットで締め上げた細いウエストと突き出したバストは女性らしさの象徴であり、フランス産の優れた品質のコルセットは近隣国にも輸出されていました。当時のコルセットはS字のカーブを描く美しいラインを作る点では優れていましたが、着心地は良いとは言えず、また女性の身体にとっても負担になるアイテムでした。
フランス革命後、女性の服装が簡素化されるとともに、それまで必須であったコルセットやパニエはだんだんと日常的には着用されなくなりました。
19世紀に入りミシンが誕生すると、洋服だけでなくランジェリーもさらに質の良いものが作られるようになりました。1880年代には、コルセットを上下に分けた「Soutien Gorge」(現在のブラジャーの原型)と「Serre-taille」(現在のウエストニッパー)が販売されました。フランス最古のランジェリーブランドと言われるChantelleが誕生したのもこのころです。
20世紀には、硬く窮屈なコルセットよりも、より快適なブラジャーが好まれるようになりました。フランスの職人たちは女性をコルセットから解放し、レースやシルクを使い繊細な手作業でブラジャーを作り上げ、それらは現在も各メゾンで"サヴォワール・クードル "(縫製技術)として受け継がれています。
第二次世界大戦が終わると、それまでオーダーメイドで作られていたランジェリーは、大量生産されるようになりました。このころに、リズシャルメルやオーバードゥなど様々なランジェリーブランドが誕生しました。
ディオールが「ニュールック」を発表した1947年を境に、ランジェリーも大きく変化したと言われます。流行のファッションを美しく着こなすために、フランスの女性たちは再びウエストニッパーやガードルなどを身につけるようになりました。ブラジャーも、突き出した胸元を作るような商品が販売されます。
1960年代にはフランスにもミニスカートブームが到来し、多くの女性がパンティストッキングを履くようになります。これと同時に、ガーターベルトやガードルなどが衰退します。このころに、だんだんとランジェリーは服と同じように楽しむものだという考えが広がり、ブラジャーとショーツを組み合わせて身につける女性が増えました。
70年代にはフェミニズムの波に乗り、ランジェリーはもっと快適に、さらに自由に楽しめるように変わっていきます。シアーな素材を使ったものやカラフルなものなど様々な商品がショップに並ぶようになり、女性が自分のセンスや遊び心などをアピールできるようになりました。
80年代には、ファッションのトレンドにならい、ランジェリーも黒い商品がヒットします。また、パンティストッキングの人気は続きますが、ストッキングをガーターベルトで吊るす50年代風のセクシーなコーディネートも再び注目されました。
90年代以降、ランジェリーは多様化します。レースをふんだんに使ったクラシックなものやヌードカラーのシンプルなもの、ハードなもの…それぞれの女性が自由に個性を表現し、さらに快適に楽しめる、ますますおしゃれで機能的な商品が販売されています。
フランスが誇るランジェリーブランド
ここからは、フランスの老舗ランジェリーブランドをご紹介します。
フランス最古のランジェリーブランドであるChantelleは1876年に誕生しました。当初はコルセット用の生地の製造から始まり、現在ではエレガントなルックスと快適な着け心地を兼ね備えたランジェリーを販売しています。環境への配慮も特徴であり、年代や体型を問わず多くの女性に支持されています。
SPLASHでも取り扱っているリズシャルメルは、1953年にフランスのリヨンで誕生しました。最高級のシルクをはじめ、厳選された素材を贅沢に使ったランジェリーを販売しています。縫製技術の高さに加えて、デザインの美しさにも定評があり、高級百貨店には必ずディスプレイされている大人気ブランドです。
「オーバドゥを身に着けるとその女性はランクアップする」と言われ、世界中の女性に愛されているオーバードゥは、1958年にパリで生まれました。セクシーで大胆、さらに刺激的なランジェリーを数多く手掛ける、フランスのエスプリを感じやすいブランドです。また、世界で最初にタンガを作ったブランドとも言われています。
シモーヌ・ぺレールは、同名のコルセットデザイナーが1948年にパリで設立しました。女性デザイナーが手がける美しいだけでなく着心地の良いランジェリーは、世界中の女性たちの心をつかみました。現在は、マダムシモーヌ・ぺレールの孫にあたる男性がCEOを務めていますが、女性のニーズを研究し、デザイン性にも機能性にも優れたランジェリーを発信し続けています。
まとめ
いかがでしたでしょうか?ランジェリーの語源が、フランス語の"麻"というのは少し意外だったかもしれません。
フランスでは、トレンド感のあるランジェリーはもちろん、個性的なランジェリーやクラシックなランジェリーなども多くの女性に愛用されています。ブランドも、新しいものが次々と誕生しており、ますます多様化が進んでいる印象です。今後はどのような商品が生まれるのか、また、昔のトレンドが再熱するのかは分かりませんが、それぞれの女性が自分のセンスに合ったアイテムを選べるのは素敵なことですね。
それでは、次回のコラムもお楽しみに!
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