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下着選びは誰のため
下着とその文化65年
今回は、ポーランドではなく、ランジェリー関連の本をご紹介しましょう。 紹介するのは、『下着選びは誰のため』(立花律子著)という本です。内容は、下着の歴史をさかのぼり、その文化の変遷を辿ることで、女性たちの美の歴史を紐解いていくというもの。下着関連の本はたくさんありますが、これだけ深い考察をした本は少ないと思います。歴史というと、やや堅苦しいイメージがあるかもしれませんが、決して堅苦しい内容ではありません。学問書のような難しい言葉は使われておらず、、初心者にもわかりやすい言葉が使われているため、とても楽しく読むこができます。
また、本書では下着の歴史だけでなく「女性の意識についての考察」もたくさん出てきて、実に読みごたえがあります。例えば、第3章「輸入下着の美学」では、女性が輸入下着を選ぶ理由は、「女性という”性”の”生”を満喫するため」だと書かれています。美しい下着を着けるのは、女性としての人生を楽しむため、つまり「自分のため」だというのです。
そして、最終章はこんな文章で締めくくられています。
「下着を通してもっと相手のことを知りたいと思い、思われる。そんな関係こそ、時代が移っても誰しもが望むものなのではないだろうか。」
自分のための下着選びは、自分以外の誰か(相手)があってこそ。それは人間関係の中から生まれる欲求である、ということを意味しているのだと思います。「自分のため」と「誰かのため」は表裏一体ということでしょうか。
下着の教養本としても、娯楽本としても楽しめる貴重な一冊。アマゾンでも購入できます。
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