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天の涯まで
ポーランド秘史
今回ご紹介するのは、『ベルサイユのばら』で有名な漫画家、池田理代子さんの漫画、『天の涯まで ―ポーランド秘史―』です。
舞台は、18世紀後半のポーランド。16世紀には広大な領土とルネサンス文化に花開いたポーランドですが、18世紀末には近隣諸国の侵略により国家が滅亡してしまいます。この漫画では、厳しい現実に翻弄され苦悩しながらも、祖国解放という強い信念をもち続けた貴公子ユーゼフ・ポニャトフスキの波瀾の生涯を描かれています。
ユーゼフ・ポニャトフスキは、実在していた歴史上の人物で、1813年にフランス帝国の元帥となった軍人。パリのブールバールには26元帥の1人であるユーゼフ・ポニャトフスキの名前を冠した通りがあります。その他の登場人物も、多くは実在していた人物で、ポーランドの歴史上の人物を知ることができます。ストーリー自体は、エンターテイメント要素が織り込まれているため、若干史実と異なる点はあります。それでも、16世紀から18世紀までのポーランドの歴史を楽しく勉強することができます。
題材が戦争の歴史ということもあり、難しいストーリーもたくさん出てきますが、その当たりはさすがは池田理代子さん。ドラマチックなストーリー展開で、難しい話もスイスイ頭に入ってきて、池田ワールドにグイグイと引き込まれます。1巻と2巻で完結するので、1日であっという間に読み切ってしまうボリュームです。ポーランド史の勉強がてら、読んでみると楽しいと思います。ただし、先にも触れたとおり、史実とは大きく異なるフィクションも織り交ぜられているので、その点だけはお忘れなく。
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