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丘を行く夢の航路
〜陸を走る船〜
ポーランド北部の町エルブロンクに、世界的にも珍しい「陸を走る船」があるのをご存知ですか?
その船は、内陸のオストルーダからエンブロクまで、材木や産物を運ぶために作られた「エルブロンク運河」を走る輸送船です。エルブロンク運河(全長約82km)は、バルト海への運搬を効率化するために6つの湖を繋げて作られた人工運河。湖ごとに最大100メートルも異なる海抜差(高低差)があるのが特徴で、それを克服するために「陸を走る船」が誕生しました。次の湖まで移動するために、船を陸にあげてレールを走らせ、100メートルの丘を越えるというもので、航行の途中でなんと5回も陸に上がるというのだから驚きです。思わず笑ってしまいそうな程に強引な方法ですが、この運河の開通よってバルト海への輸送時間が従来の5分の1に縮まったという事実を聞くと、当時の人々がこの航路の開通にこだわった気持ちが理解できる気がします。
自動車の台頭によってこの運河ではすでに積み荷を運ぶ役割は終えていますが、船が草をかき分けて進む様子を一目見ようと、今では世界中から多くの人々がエンブロクを訪れます。エンブロク運河のクルーズ体験もあり、観光地として新たな賑わいを見せています。6つの湖すべてを通過するルートは、所要時間が約5時間。時間がない人には、3~4つの湖を通過するショートコースも用意されており、こちらは所要時間が2時間くらいです。
クルーズ体験は、2012年から2014年までメンテナンス工事の為に運休していましたが、2015年からようやく運行が再開される見込だとか。ポーランドで丘を越える船旅を体験したいという方は、是非エルブロンク運河を訪れてみてください。
Elblang Canal
エルブロンク運河
エルブロンク運河のあるヴァルミア=マズールィ県には空路でフランクフルト等の各主要空港から乗り継ぎ「グダニスク・レフ・ヴァウェンサ国際空港」へ到着。鉄道やバス、レンタカーで各クルーズの船乗り場まで。
■エルブロンクのクルーズ船
冬季は運航自体がお休み。5月から運航。(遅れる場合もある)
クルーズ船運航会社
Zegluga Ostrodzko - Elblaska社(ポーランド語/ドイツ語/英語)
https://www.zegluga.pl/
・通貨/ズロチ・ユーロ(観光地のみ)
・言語/ポーランド語
・時差/8時間遅い(サマータイム3月~10月末)