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2025年ファッションの大本命「ブドワール」。ランジェリーが「見せるファッション」として注目された2024年に引き続き、2025年もランジェリー系ファッションが注目されています。パリとミラノのランウェイにも多く登場し、世界中のファッション誌もこぞって取り上げている最旬トレンド「ブドワール」について特集します。
目次 -Contents
フランス発の「ブドワール」とは?
ブドワール(boudoir)とは、フランス語で「貴婦人の私室」を意味します。女性が自分だけの時間を楽しむためのプライベートな空間を指すもので、女性が一人で過ごすための場所です。
中世ヨーロッパの上流階級の人々にとって、自宅はプライベートな場というよりむしろ「社交の場」だったそうです。来客をもてなしたり、使用人や召使なども家族以外の人がいたりと、常に様々な人が行き来する場所であったため、自宅では個人としてのプライバシーが少ない生活をしていたと考えられています。
そんな中、ブドワールは上流階級の女性たちがプライベートをくつろいだり、本当に親しい友人を招いたり、刺繍や読書などの趣味を楽しむための「特別な部屋」として愛されてきました。ブドワールの空間は、日常の喧騒から離れ、自分自身と向き合うための大切な場所だったのです。
例えば、1959年のジャンヌ・モロー主演のフランス映画「危険な関係」のヴァルモン婦人や、1988年にグレン・クローズが主演したアメリカ版のリバイバル作「危険な関係」のメルトゥイユ侯爵夫人など、ブドワールで繰り広げられるシーンは非常に印象的でした。私室というプライベートな空間での、それぞれの時代を象徴する女性像を鮮やかに描き出しています。
ちなみに、映画「危険な関係」は世界中で何度もリメイクやリバイバルされ、日本でも映画化、アジアでも2012年にチャン・ツィイーとチャン・ドンゴンが主演したリメイク版が話題となりました。これらの作品は、ブドワールの持つ魅力やその文化的背景を理解する上で興味深いものですので、観たことのない方は是非ご覧になってみてください。
2025年ファッションの大本命!ブドワール
映画などのメディアを通じて世界へと広がりフランスで生まれたブドワールの美学は、今やファッションの世界へと広がりを見せています。
ランジェリーとファッションの境界線がますます曖昧になり、2025年にはもはや境界線はなくなるかもしれません。2025年ファッションの大本命「ブドワール」は、まさにそれを予言するかのように、ファッション界に旋風を巻き起こしています。
女性の秘密の部屋をイメージし現代に蘇らせたのが2025年のブドワールランジェリー!プライベートだからこそ楽しめるおしゃれ感が満載のファッションが各ブランドから提案されていますのでParis Fashion Week とMilan Fashion WeekのSpring-Summer 2025から最新のランウェー写真と共にご紹介しましょう!
ステラ・マッカートニー、ブドワール・レースの挑戦
2025年春夏パリ・ファッションウィーク、ステラ・マッカートニーのランウェイからご紹介いたしましょう! 彼女が見せたのは、まさに今季の注目キーワード「ブドワール・ランジェリー」と、彼女らしいサステナブルな美学の融合です。
ステラ・マッカートニーが見せた「レースの柔らかなニュアンス」と、現代のエシカルな思想を融合させたコレクションは、その中でもひときわ印象的でした。繊細なブドワール・レースがあしらわれたドレスは、知的でフェミニンな魅力を放ちながらも決して甘すぎないランジェリー風のシルエット。
その背景にあるのは、自然への愛と環境保護をテーマに掲げた「Save What You Love(愛するものを守ろう)」という強いメッセージ。繊細なレースも甘くなりすぎず、あくまでも知的に、洗練されたムードに仕上がっているのが流石です。
隠すのではなく、自分らしさを堂々と纏う。ステラ・マッカートニーが見せたのは、未来への希望と、美しさを知る女性たちへのエールそのものです。
クロエが纏う新時代のブドワール・エレガンス
次はクロエ(Chloé)を紹介しましょう。クリエイティブ・ディレクターのシュメナ・カマリ(Chemena Kamali)による2作目の発表となった今シーズンのクロエ。2025年春夏パリ・ファッションウィークでは、クロエらしい軽やかでロマンティックなボヘミアンスタイルに、今季の注目のランジェリーレースを見事に取り入れた新時代のエレガンスが披露されました。
繊細なレース、柔らかなシルク、シアー素材が流れるように揺れるドレス。そして、ランジェリーを思わせるトップスやガウンは、甘さだけでは終わらない、洗練されたクロエの美意識が光るアイテムたち。
肌にそっと触れるような素材の質感、自然体の美しさ。そこには、どこか私的でセンシュアルな空気感が漂いながらも、堂々とした自信に満ちた佇まいが感じられます。
特に注目すべきは、「ブドワール」が持つプライベートな空間の官能性が、現代の装いへと堂々と昇華されていること。シュメナ・カマリが描き出したクロエは、ボヘミアンの自由な精神とランジェリーが持つ繊細な美しさを重ね合わせ、現代の女性たちに「自分らしく、そして自由に」装うことの喜びを提案してくれています。
クロエが見せた「ブドワール」の新しいエレガンス。その余韻は、パリの風とともに、私たちの心にしっかりと刻まれました。
グッチ、ブドワールを日常の装いへと導く
次はミラノから、グッチ(GUCCI)を紹介しましょう。2025年春夏ミラノ・ファッションウィークで発表されたサバト・デ・サルノによる2作目のコレクションは、テーマに掲げた「さりげない壮大さ(Casual Grandeur)」を見事に体現し、日常に溶け込む新たなラグジュアリーを提案しました。
会場で印象的だったのは、鮮烈な深紅の「グッチ ロッソ アンコーラ」。このカラーは、創設者グッチオ・グッチがかつて働いていたロンドンのサヴォイ・ホテルのエレベーターの壁から着想を得たもの。シルクやレースの柔らかな質感と、この深みのあるレッドが生み出すコントラストは、センシュアルでありながら力強く、グッチならではのエレガンスを際立たせました。
その中でも目を引いたのが、まさに「ランジェリー」を彷彿とさせる繊細な美しさ。シアーなレースや柔らかなシルクで仕立てられたスリップドレス、ボディラインを引き立てるコルセット風のトップス、流れるようなシルエットのガウン。
それらは「ブドワール」が象徴するプライベートな官能性を、日常の装いへと堂々と昇華させたものでした。繊細でありながら、その佇まいには現代を生きる女性の自信と力強さが滲んでいます。
ドルチェ&ガッバーナ、マドンナに捧げる華やかなオマージュ
最後は、DOLCE & GABBANA(ドルチェ&ガッバーナ)を紹介しましょう。 2025年春夏ミラノ・ファッションウィークで発表されたコレクションは、「マドンナ」へのオマージュがテーマ。マドンナは1990年代にブドワールを流行させたことでも知られており、ブドワールといえばマドンナを思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
ランウェイには、マドンナを象徴するプラチナブロンドのウィッグをまとったモデルたちが登場。コルセット風のトップス、円錐型ブラ(コーンブラ)、シアーなレースを纏うガウンやスリップドレス。それらは官能的でありながら堂々とした美しさを放ちました。
まさに“イタリアン・ビューティー”の真髄を見せつけ、お得意の「ランジェリー風」の要素を取り入れた、華やかでセンシュアルな世界が広がりました。
そして、コレクションの仕上げは、現代に再解釈されたブドワールの女王、マドンナの美学。彼女自身がショーに姿を現し、黒いレースのベールとゴールドクラウンを身に纏ったその姿は、神秘的でありながら強い存在感を放ち、観客の視線を釘付けにしました。
ブドワール・レースの繊細な美しさと、ドルチェ&ガッバーナならではのクラシカルで力強いシルエットが融合した今シーズンのコレクションは、過去と現代をつなぐ象徴的な作品に仕上がっています。
イタリアの職人技が生み出すレースやコルセット、そしてマドンナという不動のミューズ。 ドルチェ&ガッバーナが魅せた「イタリアン・ビューティー」の美学は、ミラノの夜にしっかりと刻まれました。
2025年ファッションの大本命!ブドワール
2025年春夏のランウェイで輝いた「ブドワール・レース」や「ランジェリースタイル」。ステラ・マッカートニーのサステナブルな知性、クロエのロマンティックなボヘミアンとの融合、グッチの大胆な赤と洗練、ドルチェ&ガッバーナの華やかなマドンナへのオマージュ――それぞれが描いた「ブドワール」の世界観が、私たちに新時代のエレガンスを提案してくれました。
女性の秘密の部屋をイメージし、インティメイトな色合いの強かったブドワールが、2025年はプライベートな寝室を飛び出して、遂にパブリックな街中へ。隠すのではなく、自分らしさを堂々と纏う。女性たちに自信を与える、新時代の「ブドワール・ランジェリー」。現代に蘇得ったブドワールは、未来への希望と、美しさを知る女性たちへのエールそのものです。
プライベートな空間の持つ繊細さと官能性を、現代の装いへと見事に昇華させた新たなラグジュアリーの形。2025年はさらに一歩先へ―。纏うことで自信を与えてくれる、2025年はブドワールから目が離せそうにありません。
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