COLUMN
News & Trend
気になる最新記事 おすすめセレクト
花とランジェリーには、言葉の代わりに感情を表現するという点で共通点があります。美しきランジェリーと花言葉の関係とは?自由に感情を表現するためのツールとして発展してきた、花言葉とランジェリーの歴史を掘り下げます。
目次 -Contents
世界に広がるフロリオグラフィー
いつの時代も私たちの心を癒し、あらゆる感情を与えてくれる美しき花々。花言葉はFloriography(フロリオグラフィー)とも呼ばれ、愛する人へのプレゼントや大切な人への贈り物など、世界中どの文化においても気持ちを表現するための手段として大切にされてきました。花の種類や色だけでなく、アレンジメントによっても異なるメッセージを伝えることができます。そのため、現代においても結婚式や記念日などで広く利用されています。

花言葉が発祥した場所や時期を明確に特定することは難しいですが、一般的には17世紀から18世紀にかけてのトルコとペルシャがその起源とされています。特に、オスマン帝国時代のトルコでSelam(セラム)と呼ばれる、花や植物を用いたシンボル的なコミュニケーションの方法が発展しました。これが後にヨーロッパに伝わり、特に18世紀にフランスやイギリスで「花言葉」として普及しました。
花言葉は国や文化によって異なることもあり、世界共通というわけではありません。例えば、ラベンダーはヨーロッパでは忠誠心や献身、愛情の象徴ともされており、特に恋人同士や友情において信頼と愛情を表す花とされています。日本にも「あなたを待っています」という献身的な意味合いの花言葉がありますが、沈黙や疑惑といった日本特有の花言葉も存在します。

日本における花言葉の文化
日本の花言葉は、四季の変化や自然への敬意などとも深く関係しています。日本では古くから、和歌や俳句、物語の中で花や植物が象徴的に用いられてきました。例えば、桜は儚さや美しさの象徴とされ、梅は忍耐や忠実さの象徴とされました。また、菊は秋の花として尊敬や高潔を表し、松は冬の花として長寿や不変を象徴します。

ヨーロッパの花言葉は、古代神話の影響や宗教的な意味合いが強いことが多く、同じ花であっても日本とは異なる意味が込められることがあります。例えば、バラはギリシャ神話で愛と美の女神アフロディーテと深く関係しています。彼女がアドニスの死を嘆いた際、彼女の流した涙がバラに変わったという伝説があることから、バラは「愛」や「情熱」を象徴する花とされています。
明治時代に入ると、日本で西洋の文化や風習が広がり、それと同時に西洋の花言葉も広がりました。西洋での花言葉がそのまま日本に広がったケースも多くあり、日本とヨーロッパで共通する花言葉もたくさん存在します。例えば、白いユリはヨーロッパでも清らかなる聖母マリアの象徴として大切にされ、日本でも清らかさのシンボルとなっています。同じく白いスイレンも、その水面に静かに浮かぶ姿から、ヨーロッパにおいても日本においても清らかさの象徴とされています。
このように、日本における花言葉は、西洋からの影響と日本固有の文化や伝統が交じり合って生まれたものなのです。

花言葉とフラワー・シンボリズム
花言葉の文化が特に盛んになったのは、19世紀から20世紀にかけてのヴィクトリア朝時代のイギリスです。18世紀末にオスマン帝国で発達した、花や果実、その他の植物を用いてメッセージを伝える文化(セラム)が、ヨーロッパに伝わったのがきっかけです。英国の外交官夫人だったラ・ベル・オテーロ婦人が、トルコからイギリスにその習慣を持ち帰り、ヨーロッパの上流階級に広まることになったと言われています。
ヴィクトリア朝時代のイギリスでは、花を使って言葉を交わすFlower Symbolism(フラワー・シンボリズム)が流行しました。社会的な制約が厳しかったこの時代には、特にヴィクトリア朝時代のイギリスでは、感情を直接表現することがタブーとされていたため、花を用いて感情やメッセージを伝えることが一般的になりました。花を使って恋愛や友情、感謝の意を伝える手段として、花言葉が広く用いられるようになったのです。

この時代のイギリスは非常に厳格な階級社会であり、身分や社会的地位に基づく行動規範が強く求められていました。感情的な行動は、特に上流階級では慎まれるべきものであり、社交場では節度と規律が重要視されていました。社会的な名声や評判が何よりも大切とされ、感情の乱れや不作法な振る舞いは名誉を傷つけると考えられていました。そのため、フラワー・シンボリズムが非常に重要な役割を果たしました。
その後、1819年にフランスで『La langage de fleurs』(花の辞典)という本が出版され、ヨーロッパ各地で花言葉の文化が広がりました。こうしてヨーロッパで発展した花言葉の文化は、後に世界中の国々へと広まり、その国独自の文化や風習と交じり合って、独自の発展を遂げていきました。

ファッションの発展とランジェリー
ここまでは花言葉について掘り下げてきましたが、ここからはランジェリーの話をしましょう。現代においてカラフルで華やかな刺繍やレースのランジェリーが一般的ですが、ランジェリーにカラフルな刺繍やレースが使われるようになったのは、20世紀初頭から中頃にかけてです。
19世紀後半から20世紀初頭にかけてのランジェリーは、主に実用的な下着としての役割が強調され、素材やデザインもシンプルで、白やナチュラルな色が主流でした。しかし、ヴィクトリア朝時代の終わり頃から、ランジェリーにも装飾性が求められるようになり、レースやリボン、刺繍が施されるようになりました。

20世紀初頭に入り、女性のファッションが変化し、それまで全盛期を迎えていたコルセットが廃れ、より快適で美しい下着が求められるようになると、ランジェリーのデザインに多様性が生まれます。この時期には、シルクやサテンなどの高級素材が用いられ、刺繍やレースが装飾として加えられるようになりました。
第二次世界大戦後、ファッション産業が大きく発展するとともに、化学繊維や染色技術の進歩により、ランジェリーに使用されるレースや刺繍もカラフルで多彩なデザインが可能になりました。これにより、ランジェリーのデザインがさらに豊かになり、カラフルな刺繍レースが広く使われるようになりました。
1960年代以降、急速にファッションの多様化が進み、それとともにランジェリーも自己表現の一部として考えられるようになっていきます。さまざまな色やデザインが取り入れられ、カラフルな刺繍レースはその象徴となりました。ランジェリーは、機能性だけでなく美しさや自己表現の手段としても進化することになったのです。

花言葉とランジェリーの「共通点」
ここまで読んでくださった方はすでにお気付きかもしれませんが、花言葉とランジェリーには2つの共通点があります。ひとつは「自己表現の手段」として発展してきたこと。もうひとつは、イギリスの「ヴィクトリア朝時代」が大きなターニングポイントになったということです。
道徳と礼儀が強調されていたヴィクトリア朝時代には、人々は自己表現をすることを抑制する必要があり、その結果として花言葉の文化が広がりました。その後、ヴィクトリア朝時代が終わりを迎え、人々が自由に自己表現することを求めはじめると同時に、女性のファッションが急速に変化し、ランジェリーのデザインも刺繍やレースなどの装飾が増えていきました。自由に自己表現をすることに飢えていた女性たちにとって、ランジェリーは花言葉と同じくらい価値があるものだったのかもしれません。

花言葉からインスピレーションを得てデザインされたランジェリーは、SPLASHにもいくつかあります。例えば、SPLASHの人気アイテム「すっぴん美乳ブラ」の中でも特に人気のあるロングセラー「LAVENDER」(ラベンダー)というコレクション。デザイナーにこのコレクションについて質問したところ、「浄化や癒しのエネルギーを持つラベンダーの香りが、芳醇なフレグランスのように空間一面に広がるイメージをした」と話していました。

ランジェリーのデザインにどんな想いやメッセージが込められているのか。花々が咲き誇るデザインに込められたメッセージを想像してみると、ランジェリー選びはもっと楽しくなります。もしかしたら花言葉のメッセージが込められていることもあるかもしれません。美しさと繊細さを兼ね備え、言葉の代わりに感情を表現する手段としても愛される花言葉とランジェリー。是非ランジェリーを通じて、花言葉のように繊細で美しい自己表現を楽しんでみてくださいね。

気になるランジェリーのトレンドと最新ニュースを紹介するおすすめコラム。話題のキーワードなどを深堀します!
©2018 SPLASH.全ての文章は著作権で守られています。無断転載・無断使用、まとめサイト等への引用を厳禁いたします。