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2024年のファッショントレンドと言えば、エアリーな透け感を楽しむシアー素材。セクシーすぎて普段の着こなしに取り入れるのが難しいと考える人もいるかもしれませんが、一般的に透ける素材として知られているシースルー素材とは異なり、シアー素材は年代を問わず楽しむことができる上品さを兼ね備えています。今回は、そんなシアー素材が織り成す洗練された美しさの秘密と魅力を深堀りし、さらにシアー素材のランジェリーを取り入れた最旬ファッションのスタイリングをご紹介します。
目次 -Contents
なぜ今シアー素材が注目されているのか?
シアー素材は2023年の秋冬コレクションで、Tory Burch(トリーバーチ)やLudovic de Saint Sernin(ルドヴィック・デ・サンサーナン)Marc Jacobs(マーク・ジェイコブズ)といった多くのブランドが透け感たっぷりのシアーを用いたルックを提案したことにより一気に注目を集めました。シアーのトレンドは2024年春夏シーズンも続いており、Dior(ディオール)、Chanel(シャネル)、Hermès(エルメス)、Prada(プラダ)、Alaïa(アライア)、alexanderwang(アレキサンダーワン)、Givenchy(ジバンシー)など、多くのブランドがシアーを用いたドレスやレイヤリングを次々とランウェイで披露しています。
例えば、Dior(ディオール)は、女性の優雅さと力強さを同時に表現するブラックのシアードレスと繊細なシアーホワイトのドレスを披露し、透明感と軽やかさを駆使したエレガントなデザインを提案しました。
Alaïa(アライア)は、ボディコンシャスなデザインで女性の体の曲線美を際立たせる白い透け感のあるシャツと桃色(Peach Fuzz)のシアースカートを発表。シアー素材のセンシュアリティと洗練性を最大限に活かしたコレクションを披露しました。
alexanderwang(アレキサンダーワン)は、「コンクリートジャングル」をテーマに、パンツ、スカート、トップスにシアー素材をふんだんに使用し、都会的でモダンなスタイルを表現。シアー素材の新しい解釈と、都市生活におけるファッションの役割を提案しました。
Givench(ジバンシー)は、シアー素材や半透明のシアースカートを特徴とするコレクションで、夜のドレスコードを日常に取り入れるためのインスピレーションを提示しました。
シアーとシースルーの違いについて
シアー(Sheer)素材とシースルー(See-through)はファッション業界で頻繁に使われる用語であり、いずれも透け感のあるファブリックのことを指しますが、両者の間には微妙な違いが存在します。
まず、シアー素材は透け感がありながらも完全には透明ではない、つまり半透明の布を指します。これに対し、シースルー素材は文字通り「完全に透けて見える」素材で、物の形や色をはっきりと見せることができる高い透明度を持ちます。
シアー素材は光を微かに通すことで物体の輪郭をぼんやりと映すため、輪郭をはっきり映すシースルー素材に比べて、上品でエレガントな印象を与えます。シアー素材にはシフォン、オーガンジー、ジョーゼット、チュール、メッシュなどが含まれ、それぞれに特徴があります。シフォンは軽やかでドレープ性に優れ、エアリーなシルエットを作り出すのに適しています。オーガンジーは張りがあり形状を保つ能力が高いため、しっかりとしたクールな印象を与えます。チュールは網目構造のやわらかな質感が特徴で、ランジェリーに最も多く使われているのが弧のチュール素材です。メッシュはチュールよりも網目が粗くワイルドな印象が強いと言えます。
シアー素材はいずれも上品で洗練されたスタイリングに適しており、シースルー素材はより大胆で露出度の高いスタイリングに適しています。それぞれ異なる用途や魅力がありますので、スタイリングに合わせて素材をセレクトすると良いでしょう。
シアー素材の歴史、ファッション史での役割と進化。
シアー素材の歴史は、1920年代のフラッパードレスや1930年代のエレガントなイブニングウェアにまで遡ります。1960年代には、大胆なファッション表現に用いられ、この頃から女性の自由と解放を表現する手段のひとつとして取り入れられるようになったと考えられています。
90年代に入ると、Calvin Klein(カルバンクライン)、Prada(プラダ)、Versace(ヴェルサーチ)といったブランドがシアー素材をランウェイで披露し、その後はファッショントレンドとして頻繁にコレクションで用いられるようになりました。多くのデザイナーが、透明感あふれるシアー素材を使ったドレスやトップスに独自の解釈を加え、新しいファッションとして提案したことにより、シアー素材は現代ファッションにおける表現の自由と創造性を象徴するものとして欠かせない存在となりました。
このようなファッション界におけるシアートレンドの進化は、単なるスタイルの変遷ではなく、社会的、文化的な変化の反映でもあります。20世紀初頭から、女性の社会的地位の向上と共により開放的なファッションが登場し、ジェンダーという固定観念からの解放を象徴するようになりました。同様に、シアーのトレンドはただのファッショントレンドを超え、現代社会の価値観や文化の変化を映し出す鏡となっており、ジェンダーの解放という大きな社会的流れと重なり合い生まれたとも言えるでしょう。
シアー素材のランジェリーで魅せる着こなし術
ここからは、シアー素材のランジェリーをファッションに取り入れる着こなしのヒントをご紹介します。シアー素材の透け感を楽しむファッションスタイルは、20代・30代の間ではトレンドとして浸透していますが、40代・50代くらいになると、トップスに透けるシアー素材を取り入れることに抵抗を感じるという人の割合が増えるようです。透ける素材をトップスとして着ることに躊躇してしまう人のために、ボトムスにシアー素材を取り入れるスタイリングをご提案します。
シアー素材のランジェリーをファッションに取り入れる際のポイントは、素材の透け感をどう活かすか?ということです。そして異なるテクスチャーのシアー素材を組み合わせることで、視覚的な奥行きと複雑さを加えること。この2つのポイントを攻略する事で、ランジェリーを日常的なスタイルに溶け込ませたランジェリースタイルが出来上がります。
スタイリングに使うのはシアー素材のスリップドレス。美しいシアー素材のスリップドレスやベビードールを異素材のワンピースの上に重ね着することで、簡単に奥行きのあるスタイリングが完成します。肌ではなく異素材を透かしてレイヤードするスタイルなら、肌見せファッションに抵抗がある人でも、気兼ねなく流行のシアースタイルが楽しめますよね。
次は、透明感と軽やかさを最大限に活かしたコーディネートをご紹介します。シアー素材のスリップドレスを活用したファッションスタイル。スリップはインナーとして服の下に着るもので、スカート裾からはみ出してはいけないというのが今までの常識でしたが、ランジェリーファッションは敢えて裾からスリップを見せるのがポイントです。シンプルなワンピースの下に、シアー素材の華やかなスリップドレスやベビードールなどのランジェリーを重ねることで、上品ながらも華やかな脚元を演出します。重心が重たくなりがちなロング丈も、透けるシアー素材なら軽やかな印象に。たった一枚のランジェリーで、普段のファッションが特別な印象にチェンジすることができますよ。
シアー素材の透け感を活かすこと、そして異なるテクスチャーの素材を掛け合わせること。これら2つのポイントを上手に攻略する事で、ランジェリー上級者から初心者まで手軽にシアー素材のランジェリーとのミックススタイルを楽しめます。今回ご紹介したスタイリングは、誰でも手軽にシアー素材のランジェリーファションをお楽しみいただけるものばかりですので、ぜひ手持ちの服と組み合わせてトライしてみてださい。
ファッション業界におけるシアー素材の将来
ランジェリー及びファッション業界では、今後もシアー素材を用いたデザイン、さまざまなテクスチャー、カラー、パターンのシアー素材が登場することがでしょう。消費者の持続可能性に対する関心の高まりを背景に、リサイクル素材やバイオベース素材から作られたシアー素材の普及や、テクノロジーの進化によりシアー素材自体の機能性が向上し、さらにはシアー素材に新たな機能を持たせることで、ウェアラブルテクノロジーとの融合なども期待されます。
また、シアー素材の応用範囲は、従来のドレスやスカートにとどまらず、アクティブウェアやメンズウェア、さらにはアクセサリーまで広がるものと予想されます。多様性がますます広がり、シアー素材の魅力もより幅広いものへと進化を遂げ、新たなファッションのトレンドを生み出す原動力となることでしょう。
ファッションのトレンドとは時代の変化を反映するものです。いつの時代もトレンドを単なるトレンドとしてではなく、現代社会の価値観や文化の変化を映し出すものとして楽しんでみると、また一味違った楽しみ方ができるかもしれませんね。
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