Voyage for Discovery
SPECIAL
vol.04
ポーランド、ランジェリーブランド探訪の旅 Ewabien
Polish Lingerie
第3部
エヴァビアン・ゼロから始まるランジェリーへの挑戦
目次 -Contents
- ポーランド、ランジェリーブランド探訪の旅
- 徹底取材!知られざるブランドの魅力
- トラベルメモ・ポーランド旅行の案内
- 第1部・アクサミ、受け継がれた美のDNA
- 第2部・サブレン、1台のミシンから始まる物語
- 第3部・エヴァビアン、ゼロから始まる挑戦
- 番外編・グラツィア、ドレスを纏うランジェリー
古都クラクフで創業したランジェリーブランド
かつて繊維産業で栄えたヨーロッパ屈指の観光都市クラクフ。1990年の初頭、ポーランドの京都とも例えられるこの地で、ひとりの美しい女性が自身の名を冠したランジェリーブランドを起ち上げました。彼女の名前はEwa Bien(エヴァ・ビアン)。学生時代は分子生物学を勉強していたという彼女にとって、ランジェリー業界は未経験の分野。まさにゼロからのスタートでした。それでもあえてランジェリー業界に飛び込んだ理由について、エヴァはこう語ってくれました。
『ブランドを起ち上げるまで、私はランジェリー製造に関する知識や経験がほとんどなかった。そんな私がランジェリー市場に参入しようと思ったのは、当時のランジェリー市場には競争がほとんどなかったから。当時ポーランドで下着を買えるのは大型ショッピングセンターに限られていて、小さなブランドやショップ同士の競争はなかったんです。しかも、ショッピングセンターで買える下着はシンプルで種類も少なかった。自分が欲しいと思うものを作ればきっと売れると思いました。』
そんなエヴァの先見は見事に的中し、エヴァビアンはポーランドの人気ブランドへと成長しました。それでもエヴァは現状に満足していないと言います。『ポーランドの下着市場は年々競争が激しくなってきています。デザインが良いだけでは選ばれない時代になりました。ランジェリー市場で生き残るためには、より細かく市場ニーズ分析し、それに見合った商品開発をする必要があると実感しています。』
幅広いサイズ展開でニーズに応える
競争の激化するランジェリー市場で生き抜くためにエヴァビアンが選んだ戦略。それは「女性をボディプロポーション別に層別し自社ターゲットを明確に絞り込む」というものでした。エヴァビアンでは自社の顧客ターゲットを大きく次の2つのタイプに絞っているそうです。
ひとつは、ボディは細いけれど胸が大きいタイプの女性。最近はプロポーションに対する美意識の高まりからこのタイプの女性が増えており、こうした女性向けのブラジャーの需要は年々増えています。もうひとつは、ボディがふくよかでバストも大きめの女性。ヨーロッパでは年齢を重ねるほどこのような体型になる傾向が強いため、このタイプのブラジャーは昔から多くのニーズがあります。こうしたターゲット顧客のニーズを自社製品に反映させることで築き上げた「顧客との信頼関係」も自社の強みだとエヴァは言います。
『ファッションの好みはシーズンごとに短期間で変化が、ボディプロポーションは長い期間をかけて徐々に変化していきます。ランジェリー市場で勝ち抜くためには、それぞれの変化にきちんと対応していかなければなりません。だから私たちはクライアントやエンドユーザーからの声を大切にしているのです。そうすることで、お客様の満足度と製品レベルが同時に高まっていくのだと確信しています。』(エヴァ)
新しい「ブラフィッティング」という考え方
ターゲット顧客の明確化に加えて、もうひとつエヴァビアンが重視している戦略があります。それは「ブラジャーのフィッティング」を重要視するということです。「ブラジャーのフィッティング」という概念は、日本では当たり前のもの。しかし、ポーランドでこの概念が普及し始めたのはつい最近のことなのだそうです。
『私の知る限り、そもそもヨーロッパには数年前まで“ブラフィッティング”という概念はなかったのではないかと思います。例えば、フランスでは今でもフィッティングよりルックスが重視されていますし、アメリカやイギリスでは小さいブラジャーを着けて胸を大きく見せようとする傾向があります。ポーランドの女性たちも、サイズを全く気にしないわけではありませんが、日本人のようにバストサイズを計測することはほとんどしません。ブラジャーサイズはメジャーで測るのではなく、目で見て判断するものだと思っているのです。だから、自分のブラジャーサイズを正確に把握しているポーランド女性は多くありません。でも、最近になってようやく「ブラジャー選びは自分たちが思っているほど簡単ではない」ということに気付く女性が増えてきたように感じます。』時代の変化とともに、顧客のニーズも変わっていく。その変化に対して敏感であり続けることこそが、ブランドの成長に繋がる。そうした考え方こそが、エヴァビアンの成長を支え続けているのかもしれません。
ブランド理念に基づき、サブレンでは今日に至るまで、全ての工程がハンドメイドで行われています。型入れから裁断に至るまで、手間のかかる工程も全て手作業。しかも、在庫を持たずに注文を受けてから製造する受注生産を行っているため、裁断から縫製までの作業は注文のたびに行われます。サブレンのランジェリーに使用される素材は、どれもデリケートな高級レースばかり。その繊細なエンブロイダリーレースを、習熟度の高いワーカーたちが、ひとつひとつ丁寧に紡いでいきます。30種類以上もの小さなパーツをスピーディーに縫い上げる作業は、まさに職人技と言えます。
ブランド「らしさ」を表現するデザイン
最後に、私たちから「エヴァビアンの最大の強み何か?」と尋ねたところ、次のような答えが返ってきました。 『エヴァビアンの最大の強みは、最旬トレンドに敏感でありながらも“エヴァビアンらしさ”を忘れないところだと思います。私たちの“らしさ”とは、大きく分けて2つあります。ひとつは、流行にとらわれないカラーチョイス。シーズンごとのトレンドカラーだけでなく、エヴァビアンならではの個性が光るカラーアイテムを毎シーズン必ず投入しています。もうひとつは、カラーとデザインの個性的なコンビネーション。例えば、カラフルな色と花柄や幾何学模様などインパクトのある刺繍を組み合わせるのは、個性と個性がぶつかりあって意外と難しいのです。それでも、私たちはあえてそれに挑戦します。それがエヴァビアンらしさを保つために必要なことだから。』
さらに、自社のランジェリーをジュエリーに例えてこう話してくれました。 エヴァビアンのランジェリー作りは、ジュエリー作りに似ていると思います。例えば、その製品の価値を大きく左右する刺繍やレースなどのマテリアルは、スイスやイタリア、スペインなど世界中から最良のものを集めています。また、ストラップを飾る小さなリボンひとつでも、手作業で作ったハンドメイドのリボンを選ぶなど、お客様が気づかないような細かいティテールにまでこだわっています。それも”エヴァビアンらしさ”だと思っています。』
エヴァビアンの今後の展望
現在、エヴァビアンの商品はポーランド国内の90店以上で販売されていますが、製品の半数以上はスウェーデンやノルウェーなどの北欧諸国のほか、カナダや中東などで販売されています。そして、日本でも私たちスプラッシュがエヴァビアン正規販売店として販売を手掛けています。そんなグローバル市場で販売を広げているエヴァビアンに、今後の展望について伺いました。
『現状のメイン顧客層は30代以上の女性ですが、今後はより若い世代のニーズにも応えられる商品を開発していきたいです。また、ルームウェアやスイムウェアなどの新ラインの導入も検討しています。エヴァビアンのお客様はフェミニティへの意識が高くて流行にも敏感。だからこそ、そのニーズに応えられるようこれからもブランドとして日々進歩していきたいですね。』
時代の変化とともに、着実に成長を遂げているエヴァビアン。これからどのような展開を見せるのかとても楽しみです。スプラッシュでは、いま以上にエヴァビアンの商品ラインナップを増やしていきたいと考えています。また、現状はスプラッシュで取り扱いのないグラマーサイズについても日本で販売することを検討しています。これからのエヴァビアンとスプラッシュにご期待ください。
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